グループ横断でAIの司令塔に SBI「社長室ビッグデータ担当」が8年間取り組んだこと(1/2 ページ)

SBIホールディングスは、グループ各社と連携しAIやビッグデータの活用を積極的に進める企業だ。データ活用プロジェクトのハブの役割を担う「社長室ビッグデータ担当」が語る、AIを実務で利用するまでの8年間とは。

» 2020年07月20日 07時00分 公開
[田渕聖人ITmedia]

この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。

 SBIホールディングス(以下、SBI)は「顧客中心主義の徹底」を掲げ、金融事業やアセット事業で、AI(人工知能)やビッグデータを活用したサービスを提供している。この中心を担うのが、CoE(Center Of Excellence)(注)である「社長室ビッグデータ担当」だ。

(注):ここでは、Center Of Excellenceはベストプラクティスやビジネスプロセスへの適用方法などの専門知識を集積した専門組織を指す。

社長室ビッグデータ担当次長の佐藤市雄氏(出典:SBI)

 持株会社の社長直下としてSBIグループを横断する同組織は、各グループ会社と連携してAIやビッグデータを機動的に活用している。メンバーの職能も、企画やデジタルマーケティング担当者からエンジニア、データサイエンティストまで幅広い。同組織の次長である佐藤市雄氏は、CoE組織のメリットについて以下のように語る。

 「データは他の経営資源と異なりすぐには価値を生み出さないため、早期に会社の戦略的な位置付けとして、蓄積したデータの利用方法を意思決定する必要がある。そのためには、社内をよく理解した専門的なチームを経営直下に置き、いわゆるCレベルのエグゼクティブがそれを率いるべきだ。これにより機動的な意思決定が可能になる」

SBIグループの横断的な組織図(出典:SBI)

 同組織はグループ横断的な組織体制を構築するため、大きく分けて3つの試みを進めている。1つはグループを横断した会議体の結成だ。「グループビッグデータ会議」は半年ごとに、経営のボードメンバーに加え子会社の代表が集まり、グループにおけるAIやデータの活用方針を決定する。ここでの決定内容の進捗や成果を「グループデータ活用推進会議」という月例会議で共有する。

 第2にグループ子会社の個別の支援だ。同組織は子会社主要50社それぞれの業務に連動したKPIを毎月モニタリングし、マーケティングやデータ活用をサポートしている。また、月次のミーティングで個別各社の問題解決を支援することで、全体最適化に向けた取り組みへの協力を得る狙いもある。

 最後の1つが、グループ子会社へのビッグデータ担当の配置である。グループ各社の出向社員が社長室ビッグデータ担当の業務を勉強し、彼らが子会社に戻った際に窓口となる。これにより、仮想的な横断組織としてグループ子会社と、AIやビッグデータの活用を滞りなく推進できる。

ひたすらデータを蓄積 CoE組織が本格稼働するまで

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ